2015/05/26
めずらしく、愚痴
パネル展の企画を依頼されてからほぼ1年たつ。「本を見る感覚で見られる見開きパネル」のイメージから展開、写真セレクトから原稿制作まで請け負った仕事だった。
「このパネル展を記録するために冊子を作りたい」と大学から連絡を受けたのは数ヵ月前のこと。印刷会社にパネルデータのPDFを渡して依頼したという。もちろん、わたしは知らなかった。
「ついては、若干の加工が必要なので元データをもらえないか」と担当者が言う。
著作権を主張するつもりはないが、以前なら「企画制作した会社に依頼して冊子を制作する」のが当然だった。そういうルールを知らない発注者が多くなっており、自治体などは平気で「制作を請け負った企業はイラストレータ(制作ソフト)のデータを提出するもの」とコンペの仕様書に書いてくる。「自治体」ですよ! そのくせ「著作権に配慮すること」と、同じ仕様書に書いてある。「この人たち、何も分かってないんだ!」と、呆れてしまう。
件の担当者も、広告とか印刷のことはまったく分からない女性だ。「ま、仕方ないか」ともとデータを送ったら、さらに「印刷会社が写真データも欲しいと言っている」と言ってきた。さすがに温厚な(?)わたしも頭にきた。
「それなりの印刷会社が、他社が企画制作したデータをよこせというのは常識を疑う」とメールをした。写真データを添付して。(ここが弱気オンナの情けないところだ)
担当者は謝ってきた。「そういう常識を知らなかった。済みませんでした。それなら断ってくださればよかったのですが」とメール。そうなのだ、イヤなら断ればいいのだ。断れなければイヤな顔をしないこと。自分に言い聞かせてきたことだ。でも、イヤな顔をしてしまった。
この学校法人とは長いおつきあいで、わたしのコピーを評価してくれていろいろ依頼されてきた。80周年のパネル展も90周年のパネル展も請け負ってきた。「あの新聞広告の原稿を今年も使用したいので、使用料をお支払いします」と、向こうから言ってくるような学校だった。近年は各種代理店の営業攻勢が強まってお付き合いも絶えていたが、周年記念のパネル展ということで依頼がきたのだ。
担当者に遺恨はない。その女子大の卒業生らしいきちんとした人で、むしろ好感を持っている。頭にきて強いことを言ってしまったことを悔やむほどだ。
ただ、こういう世の中はおかしい。クライアントからもらった写真と原稿をそのまま印刷するだけの代理店、印刷会社が横行する世の中。それどころか、クライアントが分からないことをいいことに、制作会社にデータをよこせと平気で言ってくる世の中。おかしいよ。
おかしいけど、呑み込まれていく。わたしが「おかしいよ!」と言ってもごまめの歯ぎしり、負け犬の遠吠えだ。
・・・ということを考えてきた。こういう世の中(業界)で生き抜いていく力はわたしにはないなあと、つくずく思う。(Tレックス)


このウインドウを閉じる


Copyright (C) 2003-2014 OFFICE-T Co.,Ltd All Rights Reserved.