2015/05/19
坂本さんへのアドバイス
JMOOCの「ビジネススクール入門」の第1週は、「坂本さん」という人物のビジネス人生をモデルに人生の岐路での選択肢と決定を考える講座だった。
彼は、大学で電気工学を学び総合商社に入社。システム部門からスタートして30代後半でIT関係の新規ビジネスを社内で立ち上げる。一時は大成功し複数の子会社を持つまでになるがやがて失速。退職して自分でつくった会社の経営を引き受けることになる。この後、いくつかの会社の経営やビジネスコンサルタント業を経て50代でベンチャー企業を立ち上げ成功させるが、株主の都合により他の企業グループに買収されてしまう。親会社となった企業グループは坂本に短期的な数字の確保を求め、達成できない場合は社員の給与をカットすることを通告する。
「さて、坂本さんはこの局面でどういう選択をすべきか、レポートにまとめよ」というのが課題として提出された。
それまでの講義で語られた戦略的思考に基づいて、どうすべきかを坂本さんにアドバイスするとしたら、というシチュエーションのレポートだ。もちろん、正解はない。しかも受講者同士の相互採点というやり方だ。相互採点なので他の受講者のレポートも読むことになる。
細かいことは記憶していないが、わたしは「坂本さんは経営から手を引くべきだ」と書いた。理由は、企業グループとの交渉、給与削減といった選択肢はあるが、グループの中における坂本さんの現在の立場は中間管理職である。「ビジネス人生の集大成、完全燃焼したい」という坂本氏の起業の想いから考えると、とどまって満足できるとは思えない。企業グループとの経営思想の違いは大きく、今後も同じような問題は起きてくるだろう。ここは、身を引いて自分の経営思想の実現を考えてはどうか、というものだ。
採点してくださった他の受講者の何人かが「退職するという選択肢は考えなかった」と書いてくださったのでわたしの方が驚いた。組織に属したことがないので、わたしは自己主張が強いのだろう。「あんたは何をしたかったの?」と事あるごとに自分に問う。「辞めたってなんとかなるでしょう」という気持ちもある。経営思想の異なるグループのもとに残す社員のことを考えると胸が痛むが。
実は、この講座は昨年秋に開講されたものなのだが、今でも坂本さんのことを時々思い出す。ここ数年、「わたしは何のためにこの仕事をしているのだろう?」と考えることが多くなったからだろう。(Tレックス)


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