2015/05/18
もう看板に騙されない!
高校の保護者面談の後で寄った友人が、「将来性のある業種は3C」と書かれたプリントを見せてくれた。20年も前のことなので「3C」は間違っているかもしれないが、コンピュータと何か2業種が挙げられていた。某大手進学情報会社の情報をプリントした資料だった。
その情報が正確だったかどうかは分からないが、民間企業が創り営業マンが<商品>として提供する情報をそのまま保護者に配布している高校の姿勢に疑問を感じた。

教育や福祉の専門家として行政の担当者がテレビやラジオでしゃべるのをよく耳にする。特に地方制作のニュースなどに多い。中には「ニュースを見ていれば分かるような当たり前のこと」をしゃべっている人も少なくない。担当者であるなら、経年資料で裏付けるなどの「情報」を提供すべきだろう。もっとも、インタビュアの方もお座なりの質問しかしないし、お茶を濁すだけの専門家なのだからそれでいいのだろう。
フリーペーパーの編集に携わっていたときは逆の立場だった。机上でテーマを決め「大学の先生や管理栄養士などにこんなコメントをもらおう」と、イージーに「裏付け」をとることもあった。完全な「やらせ」だ。他人の批判はできない。
「気軽に読んで情報を集めるフリーペーパーだから」と自分に言い聞かせるが、決して褒められたことでないのは百も承知だ。
求められない、期待されないということは「気楽」で哀しい。

「専門家」という言葉はアヤシイ。東日本大震災で福島原発で爆発が起こったとき、原子力発電の専門家が毎日のようにテレビや新聞で「大丈夫」と言い続けてきた。(わたしは信じた)しかし、メルトダウンが起きていた。あの頃テレビに出ていた大学の先生はどんな顔をしているのだろうか。
stap細胞が発表された当初、メディアでは科学記者や専門家と称する人たちが「素晴らしい研究だ!」と囃し立てていた。研究自体を検証するよりも、発表された内容の解説を繰り返していたのだ。だって、遺伝子研究に携わっていない科学記者には研究の内容を検証することはできなかったのだ。しかし「科学記者」と看板を掲げた時点で、「分からない」と言えなくなる。
スター研究者の名前があり、一流と言われるネイチャーに掲載されたから「素晴らしい研究」と持て囃す。これ、クオリティに対する目利きができないからブランド商品を買う消費者とおんなじだ。口が裂けても「メルトダウンとは言えない」というプレッシャーを背負って「大丈夫」と言い続けた大学の先生は、研究者ではなく中間管理職だ。専門家といいながら、彼らはわたしたち門外漢と同じレベルの人間なのだ。

いい加減な「専門家」をのさばらせてしまうのは、わたしたちの無知や無関心だ。少なくとも「専門家」というだけで頭から信じてしまう危険性をもっと知らなければならないと思う。

20年前、専門家による「将来性のある業種情報」を受け取った友人の息子は、今は中堅銀行マンだ。「そんなプリント、あったっけ?」と、友人は覚えてもいないようだ。20年前の他人の保護者面談をしつこく覚えているわたしの方がおかしいのかもしれない。(Tレックス)


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