2015/05/08
編集小理屈
情報紙の立ち上げに参加したことが何度かある。10年前にスタートした情報誌は、ローカル新聞社がサブ媒体として発行する無料のタブロイド判の2個面を、東広島周辺の紙面として差し替えようというものだった。
タブロイド判2個面とはいえ、読まれる紙面をつくるにはそれなりのパワーがいる。基本、地域の情報がベースだが、それを読者の動きに結びつけるための加工が「編集」だ。情報収集と読者に提供するための加工。どちらが欠けても読まれる情報紙はできない。それが、わたしの仕事だと思っている。
その一方で、決まっていることがある。2個面というスペースと発行日だ。これは絶対にはずせない。この情報紙の発行は毎週金曜日。年に3回だけ前後合併号にして休刊週があるだけだ。
「読まれる紙面づくり」と「決まり事」のバランスは難しい。「間に合わせること」を優先して「間に合わせ企画」に走ってしまうことも、ないわけではない。その経験から、長期の企画を用意しておく、複数の担当者で企画競合をさせる、といった体制づくりが行われるようになった。しかし、企画や編集は「人」に依るところが大だ。「面白い企画を」と攻めの姿勢をキープする人間は希少で、多くは「2個面を埋める企画」を考える。決まり事があれば「決まり事を守ればいい」と考えるのが大多数なのだ。
もちろん逆もあって、面白さを狙って決まり事を軽視する人もいる。締切に遅れるのは論外だが、「面白いから」とぎっしり詰め込んでしまう。これはこれで問題だ。「読みやすい、読まれやすい紙面」も、実は一番の“決まり事”なのだ。

情報紙は「広告を載せて読者に届けるための一皿」だ。「美味しそう」と感じて箸をとってもらわなければ広告も届かない。

10年前に立ち上げた情報紙。1年前にウチは編集をおりた。その後、目にする機会はないのだが、「決まり事を守る編集」になっていないことを祈る。
もっとも、「読者はそんなことどうでもいい、グルメと旅と温泉の情報があれば、ターゲットの若い女性は読むのだから」というのが新聞社の編集方針であるとすれば、こんな面倒くさいことを考えているわたしの方が時代から取り残されているのかもしれない。(Tレックス)


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