2014/09/26
うつろう言葉を追いかけて
「一緒にタクろうよ」と言って、友人に「?」という顔をされたのは2年前だった。もっとも、わたしも「一般的に通用する言葉」と思っていたわけではない。「このシチュエーションだから、多分、分かるだろう」というくらいの気持ちだったので、「ゴメンゴメン、タクシーにしようよ」で終わったのだが、文化庁の今年の「国語世論調査」の調査対象の言葉にもなったらしい。ビックリ!
基本的に「内輪の隠語」だと思っていた。それを、外の友人に使うわたしが配慮なしだと反省したのだが、そうでもないらしい。メモる、ハモる、デコる・・・。確かに、シチュエーションによっては使わない人も理解できるだろう。「愚痴る」「事故る」「お茶する」はほぼ通用すると思う。
しかし、「告(こく)る」「ディスる」は、わたしには「?」だった。「ディスる」は意味を聞いても語源が分からない。若い人の隠語なのだろう、「タクる」と同じくらい通用していないようだ。
昔は言葉について「使い方がおかしい」とか「誤用だ」とか言い立てていた。しかし、毎年のように「国語世論調査」が発表されるようになって、「人の言葉をとやかく言える立場じゃない、わたしは言葉を知らないのだ」と思い知った。話題になった言葉だけでも「役不足」(自分の力量に対して役の方が不足している)、「流れに棹さす」(時流にうまく乗る)、今回の「やぶさかでない」(喜んでする)など、真逆の意味だと思っていた言葉が少なくないのだ。分かったつもりで実は分かっていないことがいかに多いか。
「慣用句」と言われるこのような言葉を、わたしはどこで覚えただろうか。国語の教科書に載っていて辞書で意味を調べた、という言葉は少ないような気がする。本で読んだ、テレビドラマで耳にした、そういう言葉群だ。基本的に語り言葉で、若い頃「ちょっと使ってみたくなるムズカシげな言葉」でもある。ちゃんと調べて使えばいいのだが、生半可な理解で使ってしまい、そのままオトナになるまで携えてきたのだと思う。もしかしたら、作家や脚本家が誤用したケースもあるかもしれない。昨今のブロガーたちが、いちいち辞書サイトを確認しながら発信しているとも思えない。
そう考えると、こういう慣用句は、変化していくのが宿命とも言える。
どこで、こちらの足場を変化に合わせるか。時代の流れに棹さすべきか、どうか。思案のしどころではある。(Tレックス)


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